運動療法で腰痛がよくなった
運動療法で腰痛がよくなったDさん➂
◆同じような症状の人に向けたアドバイス
運動療法のよい点は自分で効果を実感できることです。以前は10分くらいしか歩けなかったのに、1か月続けたら1時間歩けるようになったというように改善していることが実感できるのです。そうするとモチベーションも高まります。ダイエットでも成功すればもっとがんばろうと思うものです。
しかし、Dさんのような人はなかなか少ないのも事実です。「運動をしてください」と患者さんに言うと、「はい、わかりました」という返事はかえしてくれるのですが、多くの場合、1か月後に聞くと、「ああ運動ね。2、3日はやりましたが、忙しくてやっていません」ということになります。
運動を続けるのは大切なのですが、難しいことではあるのです。特に一人で運動をするのはなかなか長続きしません。ですから、仲間をつくり、グループでやることを勧めています。あるいは、会員制のスポーツクラブのような施設なら続けられるという人もいます。
入院患者さんの場合、運動療法を行う時、患者さんが達成できる範囲内で簡単な目標を設定します。それをクリアしたら、医療スタッフはみなほめるようにしています。私は、若い女性の患者さんにドーナッツをあげたりしました。達成したらご褒美をあげるというのは、運動を継続するモチベーションになるのです。運動療法を続けるにはこういう点も大切ですから、ペアで運動する時には、お互いに具体的に目標を設定して、達成したらお互いにご褒美をあげるというのもいいでしょう。
「あなたの腰痛が治りにくい本当の理由」 著者:紺野愼一より抜粋